● 楢の明神
 (添上郡櫟ノ本町楢)
 楢の明神は、子を授けられる神様として、遠方からも参詣者があり、参詣者は必ず其あたりの子供に銭を呉れるので、今も其境内に子供の遊んでゐない日はない。
 昔、この神様は乱暴で、常に田畑を荒らし、人の子を取って食った。或家に白羽の矢がたってゐたのに、知らずにゐたら、非常に村が荒れたといふ話もある。


楢神社拝殿中央の燈籠、ザクロの形に見える

 此事が天上に聞え、八百萬の神々が評議の末、楢の明神を呼んで懇々と諭された。それで此神様も心を入替へ今まで子供を取った罪亡ぼしに、是からは子のない親に子を授け、一家楽しく暮らせる様に護ってやりましょう、と誓はれた。それから、今の様な神様になられた。神々も之に満足され、人の身はザクロの味と同じだから、境内にザクロを植ゑることにしてやらうと約束されたといふ。それで今も境内には其木がある。(巽 至)


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