● 獅子舞の角 <曽爾村史より>
 大字長野では毎年十月十一日に春日神社の祭典がある。その時に獅子舞をするが、獅子に角が生えている。相当古い形の獅子舞が保存されている。今もなお長野、今井、伊賀見では獅子舞の歌が残っている。


● 鎧岳(よろひだけ) <曽爾村史より>
 大字葛にあり、高さ八九四米で安山岩の柱状三段節理で、あたかも天を摩す巨人が鎧を着たような雄々しい岩山である。
 西行法師も、ここに来て、
 「葛(かづら)なる鎧(よいひ)が岳を着て見れば、
                そよふく風にくさずりの音」
と、歌っている。
 むかしはダケ神社の方をオダケ(雄嶽)といい、カブト岳の方はメダケ(雌岳)といい大日如来をまつったという。山の中腹に太神宮の社がある。神明さんといい天照大神と外三柱をまつる。宝永年間の石灯籠がある。
 例祭は十二月一日、大字葛で四戸ずつ当番となり「御飯」をたき、神主におくり、また芋や大根や牛蒡などで村中のひとを供応する。その飯は特に鎧ヶ岳の形にして鉢茶碗に盛る。葛のほかに伊賀見、小長尾に神明さんの信仰がある。伊勢太神楽が来て舞ったが、今は長野と今井と伊賀見とが獅子舞をする。後に春日信仰が、流行してきて春日明神をまつるようになった。土屋原も桃俣も、門僕(カドフサ)神社も、その一つである。


● 門僕神社(かどふさじんじゃ)<曽爾村史より>
 大字今井に門僕(かどのふさ・もんぼく)神社がある。うしろは小山で前は小川である。朱塗りの鳥居が左の端にあり、石段を登ると拝殿がある。一段高く神殿がある。神職の家は右手にある。神明造りで千木にカツオギは九本ある。春日大明神又は春日社という石灯籠がある。祭神は春日明神である。曽爾八ヵ村の氏神である。昔、人身御供といって犠牲(生けにえ)の奇祭の行事があった。白羽の矢が立った家からは娘が神様の御供として出さなければならなかった。そうしなければ村は平和に豊年にならなかった。いつの時代にか、それを止めて人の代わりに柿と餅を百個ずつ竹串にさして「すこ」という人形を作って御供えするようになった。もちと柿とを交互に百個ずつ竹串にさしサイトウに盛り上げて、その上に鶏頭の花を人頭に真似て作る。ほかに牛の舌、犬の舌という餅をつくりこれを三宝にのせて当屋から神社へ御供えする。八大字から八体の人形の「すこ」が供えられる。祭は毎年十月十一日であるが、伊賀見、葛、太良路、今井、塩井、小長尾、長野、掛の八大字の当屋が自分の村からこの人形御供を持ち、副当屋が扇をかざして「ヤート・ヤート」とかけ声をかけて神社境内へ繰り込んで来る。祭典前に神前にならべてあるのは人身御供の乙女が神前であたかも観念しているような体裁である。身代わりの人身御供として民俗学的興味が深い。前日の十日は宵宮で花火があがり十一日は伊賀見、今井、長野の「太神楽行事」として獅子舞の演技がある。


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