● 国王神社 吉野郡十津川村上野地<うえのじ>
 元中の年に、上野地の河津裏に不思議な光が現れ、七昼夜光り続けた。里人があやしんで、尋ねてみると、十津川の上流、天の川で賊徒の難にあわせられた長慶天皇のお首であった。大いに驚いて、ていちょうにこの地に葬り奉り、宮を建てたのが、今の国王神社である。里人の尊崇は今もたいへん厚く、その大鳥居の額の「国王神社」の四字はかの大久保利通の筆である。 (榎朝義・岡本幸雄)


国王神社の例祭 吉野郡十津川村高津
 この神社の例祭は、十二月一日で、氏子の内三人の長男を三段というものにあて、神主に従って祭らせる。この祭りには、釣瓶を用いることになっているが、これは、はじめお首を拾い上げたのは、村人が川へ水をくみにいった時であって、とりあえずお首をその釣瓶に入れて祭った由来によるのだという。
 また、当時おからだは、首・胴・腹および両手・両足と七つに切られていたが、そのお首だけが高津に祭られ、他の部分は、川下に流れて他の地に祭られていると伝えられる。


南帝陵 お首塚の玉石
国王神社のお首塚
● 身体の各部の病にきく社 吉野郡十津川村字高津
 昔、某の天子が、十津川上流、天ノ川でにわかになくなられ、そのおからだが離ればなれになって十津川を流れくだり、御頭は高津に着いて留まり、お腹は池尻に着き、お腰以外は折立の文武館(今の十津川高校)の辺に留まった。
 それを、それぞれ三ヵ所にまつると、それぞれ頭の病・腹の病・腰以下の病に霊験が現れて、今におよんでいるという。
(折立の宮だけは今は合祀されている)
 高田十郎著「随筆山村記」


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