御山神社 <みせん>

ご祭神 市杵島姫命  田心姫命 湍津姫命


鎮座地 広島県廿日市市宮島町 弥山




右の大岩は「頂上岩」と呼ばれる磐座
 厳島神社の奥宮。弥山の頂上に近い見晴らしの良い場所に鎮座する。
弥山は標高約530mで、宮島のほぼ中央に位置する。ロープウェイで上ることもできる。八〇六年に弘法大師が草庵を結び「須弥山」になぞらえ、弥山と名づけられた。大部分が「弥山原始林」で国の天然記念物に指定されている。また巨岩が多く露出しており、頂上岩をはじめ、くぐり岩や幕岩など名前が付いている巨岩が数多くある。
 ご祭神は本社と同じく三女神。
神仏分離以前には、弥山の守護神である、三鬼神(追帳鬼神・魔羅鬼神・時眉鬼神)もこちらにお祀りされていた。
 現在は三鬼堂の方にお祀りされている。

 三鬼神(さんきさん)が、三鬼堂に祭られるようになった経緯について、慶長年間のこと、安芸国の守護、福島正則が、厳島神社の社領を減らしたことがあった。すると、福島家につぎつぎと怪事が起こり、人びとはみな、厳島の三鬼天狗がわざわいを行っているのだと怖れた。正則は、天狗のやつをこらしめようと弥山に登っていった。途中、三人の山伏が横になり行く道を塞いでいた。怒った正則は、「無礼者、そこをどけ」と怒鳴りつけたが、山伏達は悠々と寝そべったままである。激怒した正則は、家臣に「曲者をひっ捕らえよ」と命じたが、それでも山伏達はいっこうに動じない。
 怒り狂った正則は、声を荒げ怒鳴り続けたところ、やがて、山伏達がのっそりと起き上がった。すると、驚いたことに、一丈余りも背が伸びたかと思うと、恐ろしい顔で、正則を睨み据えた。さすがの正則も、足がすくんでどうすることもできない。そのうち、眼がくらんで、顔を上げていることができなくなった。

 この様子を見ていた神主が進み出て、「ここにおられるのは当国の太守であるぞ。そうそうに道を開けよ」というと、山伏達は、「たとえ太守でも、よこしまな人を通すことはできぬ。立ち帰れ」と、怖ろしい声でいい返した。そこで神主は「しからば慈悲を起こせばいかがか」と尋ねると、「邪念なくば通す」と答えた。

 このやりとりを聞いていた正則は、心からおそれて、弥山崇敬の念を起こしたが、そうと見て取ると、山伏姿の三鬼は、たちまち、かき消すように見えなくなってしまった。
 正則は、あらためて三鬼の社に詣でると共に、篤く尊信し、りっぱな三鬼堂を建立したという逸話が残っている。


 お社は抜けるような青空のもと、大盤岩の上に建てられている。岩上周囲の玉垣二十間余、社前は絶壁で、前方には深い渓が広がっている。
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